平成19年5月30日更新!

絵画の工夫(1)
絵画(に限らず、凡そ造形物)は、鑑賞者に何らかをうったえかける意図を内包しています。例えば、権力者の背後には、王権の象徴でもある松の樹木が描かれるなどしますし、鶴、亀の絵を見るだけで、おめでたいと感じ るのも、今まで我々が長い間培ってきた伝統によるものなのでしょう。
一方、絵画の中に僅かに描かれた器物で、描かれている人物がどのようなものかを示す効果を持つものがあります。例えば、左の画像のような沓です。
この沓が描かれた絵画は達磨図ですので、達磨が履いている沓と考えられます。しかし、本当に達磨はこのような沓を履 いていたのでしょうか? それを恐らく絵師、あるいは発注者は調べてはいません。しかし、昔は沓を履くことの出来る人は、相応の人物であったため、書き添えられたのです。達磨を尊い人物として表現する一つの手段として、沓が描き添えられることと なります。
禅宗の肖像画である頂相において僧侶が持つ如意 (コラム「如意」参照)も同様の効果を持ちます。
絵画は、色々な視覚的手段を用いて、我々を引きこもうとするのです。
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