
 |
最も親しまれている菩薩の一つの観音は、「聖(正)観音」を
基本として、場合に応じて様々な姿をもって現われます。例えば数多の人を済度する「千手観音」や合計11、あるいは12面の顔を持つ「十一面観音」が有名です。
その中で、「三三観音」という観音があります(観音霊場三三所巡り、などの由来です)。この中には殆ど馴染みの無い観音も含まれており、例えば魚篭を持ち、あるいは魚に乗る「魚藍観音」などがあります。この「楊柳観音」は、「白衣観音」とともに、「三三観音」の中でも比較的好まれました。日本では一四世
紀頃から盛んに描かれるようになり、明兆(コラム「明兆」参照)特に禅宗界で愛されます。多くの例では、女性的な優しげな観音が、自然景の中にゆったりと
座り、袂には名前の由来となっている柳を入れた水瓶が置かれます。このように、「何の仏か」が分かる「キー ワード」のようなものが絵画には隠されている場合が多くあります。
左の作は、「楊柳観音」の多くがそうであるように、著色が用いられない水墨画の技法によっています。作者は白隠慧鶴(1685〜1768)です。現在の臨済禅は、白隠が中興した禅で、その果たした役割は極めて大きいと言えます。多くの著作を残すとともに、絵画や墨跡にも筆を染めています。 |