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花園大学・東京禅センター共催 特別企画
科学と仏教の接点X
「宇宙の起源,生命の起源,そしてヒトの起源 T」

講座レポート
2010.10.30

 東京禅センターでは毎年二回「科学と仏教の接点」と題して講演会を開かせていただいております。第五回は平成二十二年十月三十日に東京大学駒場キャンパスにて開催されました。当日は生憎の天候で台風による心配もありましたが、大勢の方にご来場いただき例年どおり開催することが出来ました。
当講座の発案者でもある佐々木閑先生は京都花園大学の仏教学者として有名ですが、先生が理科系出身ということもあり科学に対して造詣が深く、様々な科学分野で先生方との交流がございます。また佐々木先生の専門とされる原始仏教は縁起の思想に代表されるようにとても合理的な考え方を採り、仏教は修行というアプローチ(方法)をとりますが、違いはあれどその方向性は科学と似ています。そこから、仏教と科学がお互いを認知し合っていくことは大変意義深いことだと考え、色々な分野の第一人者の科学者をお招きしてお話いただいております。
今回は副題の「宇宙の起源、生命の起源、そしてヒトの起源T」に見られるように科学における宇宙・生命という世界観を、宇宙に関しては総研大名誉教授の湯川哲之先生に、生命に関しては国立遺伝学研究所教授(総研大,東京大学大学院教授を兼任)の斎藤成也先生をお招きしてお話いただきました。

佐々木 閑 先生

科学と仏教 共通する「方向性」

まず最初に佐々木先生より仏教と科学の方向性のお話がありました。
「仏教の方向性」とは「世の有様(自分の存在)を正しく見る」ということですが、仏教は絶対者(絶対神)を置かないという立場から「世の有様(自分の存在)を正しく見る」ことを必要としました。
仏教は「四法印」を原点として思考を理論的に組み上げて行くことを特徴とします。
仏教では最終的に「修行」という方法をとりますが方法の違いはあるけれども科学者達も「世界の本当のありさまを正しく見る」という求めるところは同じ方向を見ています。

湯川 哲之 先生

宇宙の起源

引き続き湯川先生による「宇宙の起源」についての講義にうつりました。
講義の最初にスクリーン一杯に夜空に瞬く星たちが映し出され、宇宙の「無限・有限」や宇宙の始まり、「空間・時間」は何故あるのか、また空間と物質の関係とは等の様々な疑問が湯川先生により我々に提示され、講義を通じてそれらの疑問に対するこれまでの様々な科学者の見解や先生自身の見解を御紹介いただきました。
講義では宇宙の始まりで有名な「ビッグバン」や謎の天体である「ブラックホール」、また私達の宇宙である「四次元時空」など図を交えて説明していただきました。
さすがに長い年月をかけて世界中の天才達が作り上げていった理論は個々の内容がとても複雑でなんとなく感じを掴むだけでも精一杯でしたが、一つ一つ理にかなったものしか扱わない科学者の頑ななまでの姿勢は佐々木先生の言う「世の有様(自分の存在)」を正しく見ようとする修行者の姿勢と重なり合うように思えました。

湯川 哲之 先生

生命の起源

次に休憩を挟み斎藤先生に「生命の起源」についてお話いただきました。
まず、生命に関してDNAの特徴に代表される「自己複製」と「生と死の共存」(「自己複製」の増加を有限世界でバランスを取らせるために必要な「自己複製=生」を「増」として「減」である「死」を考える)の二つを生命を考える上での基本的な定義と置き、「生命の起源」を出現の状況から、また現在の生物から過去に遡って予想する方法で説明いただきました。
地球が最初出来たときの状態がどのようなものであったのかという諸説や地球の誕生から生命の誕生を経てヒトの発生までの歴史、ダーウィンの進化論など様々な事柄について説明いただきました。
(生命の研究はまだ歴史が浅く理解の及ばないところが多く、様々な問題に様々な説があるのが現状であるとのことです)

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